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カート

カートが空です

冷えた日本酒のグラスと食卓

箸が止まらない酒がある。

飲み飽きのない、日々の酒。

辛口の酒

「水のような酒」という言葉がある。

けれど、稲花が思う水のような酒は、味の薄い酒ではない。口に含めば、ちゃんと酒の味がある。米の旨みがあり、酸があり、飲んだという手応えもある。

それでも、飲み込んだあとには重さを残さない。甘さがいつまでも口に残ることもなく、酒の味が舌の上に居座ることもない。ひと口の余韻がすっと消えて、口の中がまた静かになる。

その後口が、水のようにきれいであること。稲花は、それを辛口だと考えている。

辛口だから、味がないのではない。辛口だから、ただ軽いのでもない。

味はある。残らないだけだ。

だから料理をひと口食べれば、また酒が飲みたくなる。酒をひと口飲めば、また箸が伸びる。料理の味を邪魔せず、それでも酒そのもののうまさはちゃんとある。

水のように薄いのではない。 後口が、水のように切れる。

それが、稲花の考える辛口の酒だ。

気づけば、
皿も杯も空いている。
そんな食卓に、よく似合う。

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